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梅若会 定式能
 9月16日(日) 午後1時開演

於:梅若能楽学院会館 


 “能” 善知鳥

この「善知鳥(うとう)」は、「阿漕」「鵜飼」と共に「三卑賤」と呼ばれ、卑しい者を描いた能とされていますが、親子の深い情愛を隠れたテーマとする曲です。
うとうは、中型の海鳥で非常に親子の情愛が深い保護鳥。 古代人は、うとうが天空の神々より与えられた神意を地上の世界に使わし、人々を善へ導く聖なるものと考え、神使の象徴として「善知鳥」の字を充てた。 (青森市安方の善知鳥神社HPより)

 
 【あらすじ
  善知鳥は、親鳥が空で「うとう」と呼ぶと、隠れた雛が「やすかた」と応え、居場所を親に知らせます。これを利用して、猟師が「うとう」と呼びかけ、「やすかた」と答えた雛鳥を捕るのです。 旅の僧(ワキ)が青森県の外の浜に行く途中、富山県の立山に立ち寄りました。この立山は、死者の集まる霊山として信仰を集めていました。 僧は、山上の地獄さながらの有様におののきます。さて、僧の前に一人の老人(前シテ 松山隆雄)が現れました。
 老人は、「陸奥へ行くのであれば、去年の秋に死んだ外ガ浜の猟師の家を訪ねて、蓑笠を手向けるよう伝えてほしい」と頼みます。 そして証拠にと、着ていた麻衣の片袖を解いて渡しました。僧は外の浜の猟師の家を訪ね、妻子に老人の伝言を語ります。 驚いた妻(ツレ 松山隆之)が形見の衣を取り出し、片袖を合わせてみるとぴたりと合いました。
 やがて、僧が蓑と笠を手向けて回向していると、猟師の霊(後シテ)が現れました。 亡霊は、懐かしい妻子に会えた喜びに、我が子に触れようとしますが、前世の罪障に隔てられてしまいます。 絶望した亡霊は、報いを忘れて殺生に明け暮れ過ごした日々を語り、親子の愛情が深いと言われる善知鳥を殺した罪を懺悔します。
 そして、地獄で化鳥となった善知鳥に追いかけられる責め苦の様を見せ、どうか自分を助けてほしいと僧に弔いを頼みつつ亡霊は消え失せるのでした。